Prisoner road-囚人道路
Prisoner road
Prisoner road〜囚人道路」についての考察
Seen とUnseenという言葉がある、見えるものと見えないものという意味で写真の根源的な意味を表す言葉としてよく使われる。そこから考えると、写真の役目の一つとして見えずらくなっている物を可視化するという役目があると思う。そのような意味では14年前から始めたRoadside lightsのプロジェクトは普段の生活の中でUnseen(見えないもの、見えづらくなっているもの)ものをSeen(見る、見える)という流れで可視化してゆく作業だったと考えている。
前項を踏まえて考えると2年前から始めた新しいプロジェクト”Prisoner road〜囚人道路”についてはUnseen(見えづらい)くなっているものからEnvisaged(思い描く)になるのではと考える。その意味は、囚人道路は北海道での史実として厳然としてあるが、130年前の出来事のため当時の状況を視覚的に示すものはほとんど残っていない。この二年ほどで確認できたのは、囚人をつないでいた鎖とわずか一枚の仮監(道路工事中に作った仮の監獄)の写真だけである。ただ囚人道路建設についてのテキストについては、国がやっていたため行刑史や地域の郷土史などかなり残っている。
この明治19年から27年の間に囚人達が作った道路についても、部分的に現在も使われている区間はあるが、改良され当時を偲ぶものはほとんどない。さらに現在使われていない区間は、ほぼ藪や木が多く茂っている。
そのような状況の中で、囚人が作った道路の場所を確認し私が撮った写真を入り口として、囚人道路を思い描いていただきたいと考える。